嵐のように過ぎ去った6月。
昨年の屋久島ツアーで知り合ったテレビ局のプロデューサーから伺った今世紀最大の皆既日食クルーズが、既に満室で更に100人以上待ちと聞いて落胆。
のんびり構えていた私と母は、祖父が楽しみにしていた皆既日食ツアーの予約に遅れを取っていた。

97歳になる祖父をツアーに連れて行くと約束をしていた国立天文台名誉教授のH先生に、お詫びのメールを書いた。
しばらく返事がないので、呆れられているのかなと思っていたら、プロデューサー氏から電話が入り、なんと1部屋空いたのでぜひ祖父を連れて皆既日食観測クルーズに参加してほしいと。
後から聞いたところ、H先生が同僚に頼んでツインに移っていただき、空いた部屋を私達に譲ってくださったとの事。
このようなチャンスは二度とない、特に高齢の祖父の為に先生は一肌脱いでくださった。
感激はもちろん、先生の真摯な態度に感銘を受ける。早く祖父に会わせたい。

4日間の旅が始まる前は、クリスマスチョコレートや引き続き公式ウェブサイト開設の準備を進める。

そしてクルーズが始まった。

我々が4日間お世話になるのはパシフィックビーナス。そう、H先生と引き合わせてくれた屋久島クルーズの時と同じ船。


 
その晩の夕食中に、先生は祖父の元に挨拶に来てくださった。名刺交換をする二人。嬉しい対面、そして皆既日食のお話を情熱的にしてくださる先生に祖父も聞き入る。


 
そして二日後の7月22日。
硫黄島沖。

船長の腕のおかげで雲をくぐり抜けながら、最高のポジションで待機。
アマチュアカメラマン達が集まったデッキ。


 
各自にこの日食グラスが渡される。


 
このクルーズにはNHKの撮影班とともに、著名な研究者の方々も乗船していたので、いつ日食グラスをつけて、いつ肉眼で観察するべきかなど、的確な指示をしてくださる。さらに万全を期して皆既日食のステージまでのカウントダウンを計れるようにコンピューターを設定中、とプロデューサー氏が教えてくださった。

始まる前の海と空。後から聞いたが、当日ほかの場所では雨か曇りで良く見えなかったとの事。海上は信じられない程の晴天。この日、7月22日に観察できた皆既日食は今世紀では最大の6分39秒。先生のお話では皆既最大継続時間の平均は3分38秒なので、かなり長い。

9:20am 私達もNHKのクルーもいるセクションCへ移動。


 
9:58am 日食グラスを通して初めて見る太陽はまんまる。

10:02am 少し太陽が欠け始めた。

10:25am さらにはっきりと太陽が左上からかけ始めた。
日食グラスとカメラを重ねて撮った一枚。


 
11:05am カウントダウンが始まる。ドキドキ。まわりがワサワサし始める。雲が少しかかりはじめ、騒がしくなる。


 
11:17am 太陽は薄い三日月のような形になりほとんど見えないが、それだけでもとてつもなく眩しい。
部分食とは違い、皆既日食は太陽の光が完全に遮断されるので、普段は眩しすぎて目にする事のできないコロナが見える。
そして暗黒の世界から神秘的なコロナが現れその美しさに呆然としながらも、ほっと救われるような安堵感を体験する。
 
11:30am スピーカーから聞こえる、先生の自然への「ありがとう」に皆既日食を体験した感謝と共に感動。
周りの景色の変化の美しさ、神秘に心が強く動かされる。
その後、太陽の復帰とともにビールで乾杯!
 
 
 
この日食体験を振り返ってみると、先生が講演でおっしゃっていた通り、DNAにスィッチが入った感じだった。
先生曰く、皆既日食を体験すると、料理や音楽のように5感が「共鳴し合う」状態に留まらず、第六感ともいえる、より「高尚」な体験をする事になる、と。
第六感はいわば動物的な本能。普段は無意識下の、自分でも説明しきれないDNAレベルで何かが動いたような、本能のスィッチがONされたような感覚を味わった。
と同時にデッキで祖父と横たわり、カウントダウンを待っている際、一瞬にして音も景色も静まり返り、ほぼ暗闇に包まれた時の不安も思い出した。
でも、それはほんの一瞬。すぐに太陽は戻り始め、まわりを照らした。
自然界に大きく包まれ、まさに宇宙と自分が一体になっているような感覚を味わった。
それはまるで、必ず道は開ける、と自然が私に語りかけているような体験だった。

自然のもたらす美が、最も美しいと感じた旅。
だから私はCoco de Merの自然なおしりの形に惹かれるのでしょうか?