この月も、慌ただしく商品用リーフレットの撮影や、
ウェブサイト製作の作業に追われる。
自然光を求めて、オフィスの非常階段脇をスタジオ代わりに撮影したり。


 
工房ではショコラティエ原田氏に依頼し、
Coco de Merの風味の改良をお願いする。
野性的な味が特徴だったオリジナルにタヒチ産オーガニックバニラを足す事で、
よりまろやか、かつエロティックな味へと仕上がって行く。


 
同時並行で、公式サイトのリニューアルのためにウェブデザイナーともオフィスで何度も打合せを行った。コンピューター音痴の私に代わって、仕事の合間に弟も対応にかけつける。一つのものを作り上げていく段階は一番つらくて、楽しい時期かも。

そう考えていたら、先月実家で夕飯後に家族と一緒に見たドラマ、
「黒部の太陽」を思い出した。


 
 
電力会社、建設会社、関連会社に勤務する男達が、トンネル建設に命をかけるドラマ。
建築物などを見るといつも思うが、どんな高層ビルでも最初は人間が足場をつくり、骨組みをたてる。
そこに機械が導入され、ドンドン作業がスピードアップする。頭脳で戦うオフィスの戦士達もいれば、体をはって現場で命をかける男達もいる。
 
 
東京ディズニーシーのプロジェクトで働くまで、私のまわりは頭脳戦士しかいなかった。10年ほど前、私はWalt Disney Imagineeringと言うDisneyのクリエイティブ集団が集まる会社で、TDS(東京ディズニーシー)プロジェクトの通訳として働いていた。施主(日本)と建設会社、そしてたくさんの関連会社で働く人たちとも関わる仕事。

現場のみなさんとの集合写真は、いつも紅一点。どこに私がいるでしょうか?という位、馴染んでいます。


 
工事の初期段階は安全なプレハブのオフィスで会議通訳をしていたが、現場が動き始めたらそうもいかない。工事現場用のヘルメット、安全ベルトをつけて、現在ヴォルケーノとよばれる、50メートルはある人工火山の山頂まで、足場をつかって毎日登山。まさに、体力勝負。某大手建設会社、S社の所長さんがそんな私をみかねて、安全靴(ブーツの先にメタルが入っている)をプレゼントしてくれるほど、現場に張り付いていた。


 
自然ではないけれど、人工の山との戦い。建設会社は工期が、施主は費用、そしてクリエイティブ(ディズニー)は仕上がりが命。幾度となく三者がぶつかり合い、工事が中断する事態もよくある光景だった。通訳の言い回し一つで誤解を生みかねない、緊迫した状況の中でモノ作りが進められていく。そこで学んだ一番大切な事は、上司に教えてもらった。
それは、現場で自ら命をはって一緒に働いてくれる人達を大切にする事。いざと言う時に、頼りになるのは彼らだ、と。
 
現場で各々の専門分野で言い争ったとしても、必ず道が開ける。異なったプロの立場から、より良いものを作るための戦い。だからこそ、結果はすばらしいものになる。そして、最高の作品ができたら、争った事など忘れて共に喜ぶ。
 
きっと現場のおじさん達も、足場を作ってくれた鳶職人のお兄さん達も、いつか自分の子供たちを連れて来た時、さらにその喜びが何倍にもなるのかな。